maxplus 祝 20th ANNIVERSARY — Established in June 2006
三峰陶苑の染付の皿

STORY 2|三峰陶苑

このお皿、どうやってできているの?

毎日の食卓を支える、美濃焼の工場を訪ねました

お店で見つけた、素敵なお皿。

手に取って、「これに何を盛ろうかな」と考える時間も、器選びの楽しみのひとつです。

サラダを盛ろうかな。
煮物にも合いそう。
朝ごはんの目玉焼きにもいいかもしれない。

でも、その一枚がどうやってつくられているのか、考えたことはありますか?

今回訪れたのは、岐阜県土岐市にある株式会社 三峰陶苑。

工場を案内してくださったのは、取締役 営業部長の清水翔平さんです。

器ができるまでの工程を実際に見せていただきながら、美濃焼のものづくりについてお話を伺いました。

工場の中で、次々と生まれていく器

工場へ一歩入ると、まず目に入ってきたのは、たくさんの器が次々とつくられていく光景でした。

大きな機械が動く音。
ずらりと並ぶ、まだ焼かれる前の器。
その間を行き来しながら、手際よく作業を進める人たち。

お店では一枚ずつきれいに並んでいる器も、ここでは何十枚、何百枚という単位で生まれていきます。

工場の中を進んでいくと、器の形をつくる場所、柄をつける場所、窯で焼き上げる場所、そして完成した器を確認する場所へと景色が変わっていきます。

一枚のお皿ができるまでに、いくつもの工程と、そこで働く人たちの仕事がつながっていました。

成形を終え、次の工程を待つ器たち
成形を終え、次の工程を待つ器たち。同じ形の器がずらりと並ぶ光景に、美濃焼の産地ならではのものづくりのスケールを感じます。

一枚のお皿ができるまで

器ができるまでの大きな流れは、

「成形」「印刷・加飾」「焼成」「検品」。

まずは、器の形をつくる「成形」

最初は「成形」。

器のもとになる土から、お皿や鉢など、それぞれの形をつくっていきます。

機械を使って同じ形を次々とつくりますが、ただ機械を動かしていればいいわけではありません。

土の状態や機械の調子を見ながら、人が細かく調整していきます。

ここで少しでも形がずれてしまえば、その後の工程にも影響します。

成形された器がずらりと並ぶ様子を見ていると、一枚のお皿を手に取るだけでは見えてこなかった、産地のものづくりのスケールを感じます。

機械のそばで一枚ずつ状態を確認する
機械を使いながら、一枚一枚の状態を人の手で確認。たくさんの器をつくる工場でも、人の目と手が欠かせません。
大きな機械が並ぶ工場内
大きな機械が並ぶ工場内。機械に任せきりにするのではなく、人がそばで器の状態を見ながら作業を進めています。

器に表情をつける「印刷・加飾」

形ができたら、次は柄をつけていきます。

三峰陶苑が得意としているのは、染付や昔ながらの和柄。

藍色の模様が入った器を見ていると、

「煮物を盛ったらきれいだろうな」
「焼き魚にも似合いそう」

と、自然と料理が思い浮かびます。

染付の大皿に押し寿司、小皿に青菜
染付の大皿に押し寿司、小皿に青菜。藍色が料理を引き立てます。
染付の鉢にご飯を盛って
染付の鉢にご飯を盛って、小皿には漬物を添えて。

同じ柄の器が次々と仕上がっていく一方で、ここでも欠かせないのが人の目。

柄の位置は合っているか。
小さな汚れがついていないか。
きれいに仕上がっているか。

一枚一枚の小さな違いを確認しながら、作業が進められていました。

三峰陶苑の染付の皿
器を回転させながら、一枚ずつ丁寧に仕上げていく工程。手元に集中し、細かな部分まで確かめながら作業が続きます。
器に模様を施していく作業
器に模様を施していく作業。機械を使う工程にも、人の手による細かな調整が加わります。

昔ながらの和柄を、これからも

昔ながらの和柄を得意とするメーカーは、以前より少なくなっているそうです。

清水さんは、

「うちは昔ながらの和柄や染付が強みなので、そこは減らしたくないですね」

と話します。

昔から大切にしてきたものは残しながら、今の暮らしにも取り入れやすい器をつくっていく。

伝統を守るというと少し堅く聞こえますが、その先にあるのは、私たちのいつもの食卓です。

三峰陶苑 取締役 営業部長の清水翔平さん
工場を案内してくださった、三峰陶苑 取締役 営業部長の清水翔平さん。昔ながらの和柄や染付を大切にしながら、毎日の食卓で使いやすい器づくりについてお話を伺いました。

高い温度で器を仕上げる「焼成」

柄をつけた器は、いよいよ焼成へ。

工場の中でもひときわ存在感があるのが、器を焼き上げる窯です。

ここで高い温度をかけて焼くことで、器が仕上がっていきます。

焼く前と焼いた後では、色の見え方や質感も変わります。

あのきれいな藍色も、こうした工程を経て、私たちが店頭で目にする器の表情になっていくのです。

器を釉薬にくぐらせる工程
器を釉薬にくぐらせる工程。ここから焼成を経ることで、色や質感が変化し、私たちが目にする器の表情へと仕上がっていきます。

最後は、人の目で一枚ずつ「検品」

窯から出てきたら完成、ではありません。

最後に待っているのが「検品」です。

傷はないか。
汚れはないか。
柄がずれていないか。
形に問題はないか。

完成した器を人の目で確かめ、基準を満たしたものが工場から送り出されます。

一枚ずつ器の状態を確認する
工程の途中でも、一枚ずつ器の状態を確認。たくさんつくるからこそ、小さな変化を見逃さないことが品質につながります。

「機械でつくる=簡単」ではありません

たくさんつくるからこそ、人の目が大切

工場には、たくさんの機械があります。

「これだけ機械があれば、人の手はあまり必要ないのでは?」

そんなふうに思うかもしれません。

ところが実際に工場を歩いてみると、その印象は変わりました。

機械を調整する人。
器の状態を見る人。
小さな汚れを見つける人。
焼き上がった器を確認する人。

機械のそばには、いつも人がいます。

例えば、柄をつける工程で小さなゴミが付いていることに気づかなければ、そのまま何十枚、何百枚と同じ不具合につながってしまうこともあるそうです。

だからこそ、小さな変化を見逃さないことが大切になります。

手に取りやすい器にも、手間は惜しまない

清水さんの話の中で、印象に残った言葉があります。

「これだけたくさんつくっているからといって、品質を落としていいわけではありません」

たくさんつくることで、私たちは美濃焼を毎日の暮らしの中で気軽に楽しむことができます。

でも、手に取りやすい価格だからといって、簡単につくられているわけではありません。

機械の力を借りながら、そのそばで人が見て、確かめる。

その繰り返しが、一枚一枚の器を支えていました。

主役は料理。
でも、器が料理をもっと楽しくしてくれる

自分たちの器が使われている、それがうれしい

「仕事をしていて、うれしいのはどんなときですか?」

清水さんに尋ねてみました。

返ってきたのは、

「売り場で、自分たちがつくった器を見つけたときですね」

という答え。

テレビを見ているときや飲食店で、自分たちの器が使われていることに気づくと、思わず「おっ」となるそうです。

そして、もうひとつ印象に残った言葉がありました。

「食事の主役は料理なので、その料理が少しでも映えて、おいしく見えるような役に立てたら嬉しいですね」

いつものごはんを、ちょっとおいしそうに

毎日のごはんは、特別な料理ばかりではありません。

昨日の残り物の日もある。
忙しくて、お惣菜を買って帰る日もある。
焼き魚とお味噌汁だけの日だってあります。

それでも、お気に入りのお皿に盛ってみる。

買ってきたお惣菜を、小鉢に移してみる。

それだけで、いつものごはんがちょっとおいしそうに見えたり、食卓に座る時間が楽しみになったりします。

ゴーヤーチャンプルーを三峰陶苑の染付の皿に
ゴーヤーチャンプルーを、三峰陶苑の染付の皿に。沖縄の食卓にも、美濃焼はよくなじみます。

器は料理の主役ではありません。

でも、毎日の料理をそっと引き立ててくれる、大切な存在です。

工場から、誰かの食卓へ

工場を出るとき、ずらりと並んでいたたくさんの器を思い出しました。

形をつくる人がいて、
柄をつける人がいて、
窯で焼き上げ、
最後に一枚ずつ品質を確かめる人がいる。

そうしてできあがった器は、箱に詰められて工場を出て、お店へ。

そして、そこで誰かが手に取り、

「これに何を盛ろうかな」

と考える。

工場で見た一枚のお皿と、私たちの毎日の食卓は、ちゃんとつながっていました。

次に美濃焼を手に取ったとき、少しだけその向こう側にある工場のことを思い出してみてください。

今日の焼き魚にも。
明日の朝ごはんにも。

お気に入りの一枚があるだけで、いつものごはんが少し楽しみになるかもしれません。

暮らしのとなりに — 02
↑